ストレスを脳で感知するのは、皆様もご存じかと思います。
では、具体的にどのような脳のメカニズムになっているのかを今回は解説していきたいと思います。
人の脳は、構造・機能的に以下の3層構造に分けてみることができます。
Level1:脳幹
最も内側にある部分
生命を維持のために無意識のうちに活動する機能
呼吸や心拍など
Level2:辺縁系(偏桃体など)
中間層にある部分
哺乳類全般にある脳の機能で、主に感情を司る
Level3:新皮質(前頭前野など)
一番外側にある部分
人間やチンパンジーなど高等哺乳類で発達
理性や知性を司る
ストレスと脳の関係を見るときに、Level2にある偏桃体と、Level3にある前頭前野をピックアップすると大変分かりやすいです。
例えば、誤解でいきなり怒鳴られた。説明しても聞く耳を持たない、というエピソードを思い浮かべてください。
この時とても腹が立ち、相手に対して怒鳴りつけたい衝動に駆られるかもしれません。
ですが、大抵の方はそのような感情的な行動はせず、話し合いで解決しようとしたり、相手が攻撃的であれば、警察に行くなど
理性を働かせようとしますよね?
恐怖や怒りなど「感情」に強く反応するのは偏桃体です。
偏桃体は、反応が非常に速く、パワーも強いです。
偏桃体の暴走に任せれば、感情的に相手に食ってかかるかもしれません。
しかし多くの場合そうならないのは、「前頭前野」がきちんと働き、偏桃体の動きを抑えてくれているからなのです。
前頭前野は動きが遅く、パワーも弱いですが、論理的に考えたり、計算をしたり、理性を保つなど、人間が人間らしくあるために
必要な役割を果たしてくれています。
ですから「キレやすい人」というのは、この前頭前野がきちんと働いていない可能性があります。
これは発達や老化の過程でも分かることで、人間の前頭前野は、「一番後に育ち、一番先に老いる」と言われています。
前頭前野は大体、20歳くらいで完成すると言われていますが、老いるのも早いです。
ですから、小さな子供やお年寄りが、なかなか感情のコントロールが効かないのも納得できますね。
しかし、脳を鍛えて若くいるお年寄りはまた違ってきます。
脳を若く保つということは、認知面ではもちろん、感情のコントロールにおいても非常に重要であることが分かります。
次回はストレスと身体の関係について掘り下げてみたいと思います。